Works

Majestic Works

手仕事が生み出す
美の宿る敷物

現代社会では、流行にとり残されたものは、それがどんなにすぐれたものでも、放棄される運命にあります。

環境問題と持続可能な社会の実現という課題に直面する今こそ、私たちは本質を見つめなおして、未来に残すべきもの、真の価値があるものとは何かを考えないといけません。

私たちは、それは’’普遍の美しさを持つ手仕事品’’だと考えます。

自然の恵みを生かしながら優れた手技で作られる手仕事品には、作り手と使い手たちが長きに渡って培ってきた知恵と工夫、感性、伝統文化が凝縮されています。

さらに 完成品だけでなく、製作に取り組む姿、使いこなす姿にも美があり、私たちは、これらの美こそ後世に残すべき普遍の美であり、真の価値のあるものと考えています。

そして、この手仕事の美を語るうえで欠かせないのが絨毯です。

絨毯はひと口に織り物といってしまうには、あまりにもたくさんの労力と時間を要し、それ故に人々に 時代と民族を超えたロマンを感じさせてくれる存在で、美が満ちあふれています。

用の美

使い手の美と作り手の美

用の美とは、柳宗悦たちが提唱した民芸(民衆的工芸)運動から見出された’’ 職人たちの手仕事によって生み出され、飾らない美しさと実用性を併せ持つ生活道具’’に対する美の概念。

人々の日々の暮らしに根付いて愛用される道具には、素朴なものでも「用」という使い手の「美」が宿っているという考え方で、お気に入りの品を、長く大事に使う北欧の人たちの価値観にも通じるものがあり、このうような''作り手の美''と''使い手の美''が共存してしている姿こそが美の本質といえるでしょう。

伝統美

伝統美は、その地に暮らす人々の 何百年にも渡って培われてきた世界観や様式美で、神々(天地)への感謝や祈り、伝承といった精神的信条を示す民族芸術の総体という性質も持ち合わせ、他の国(地域)のものと融合して変容したり、時空を超えて、普遍の美として人々の心に根付いています。

その多くが手工芸によって体現されていますが、なかでもシルクロード沿線地域に存在するたくさんの人種や部族たちの間では、個性的で見どころに富み、歴史的価値の高い伝統美が数多く受け継がれています。

しかしながら、各地の手工芸文化は近代化による産業構造と生活環境の変化により、多くが存続の危機に直面していこともあり、私たちはこれらの貴重な歴史遺産に対して、今後益々目を向けていく必要があるでしょう。

カスタールは130年を超える歴史を持つスウェーデンを代表するラグメカー。
スウェーデン王室の紋章の使用を許されている数少ない企業のひとつで、製品の企画からデザイン、糸の加工、ラグの生産、仕上げ、出荷までの全工程を本国で一元管理して行うなど、常に高品質であることにこだわり続けています。
上質素材と高度な技術から生み出される洗練されたデザイン そこにはカスタール独自の哲学とこだわりが詰まっています。

残糸を再利用したラグ
キリムのハギレを再利用したラグ

「アップサイクル(創造的再利用)」とは、製造活動を行ううえで発生する廃棄物に新たな価値を与えて再生する取組み。サスティナビリティの実現を目指すうえで注目度が高まっているこの手法をラグで実現させてみました。

次代へ紡ぐ 美意識とものづくり精神

精緻な技法から生み出されるダイナミックで美しい瑞祥文様により、京の茶人や名高い料亭、豪商に好まれ、天皇の御召列車や枢密院の玉座にも使用された赤穂緞通の魅力と技術を次の世代につなぐ取り組みの御紹介です。

斬新な着想から、新しいスタイルのラグを生み出してきた著名なラグデザーナーたち。

  • イングリッド・デッサウ

    イングリッド・デッサウ(1923~2000年)は、スウェーデンを代表するテキスタイルデザイナーで、Kasthall社の初代チーフデザイナー。
    クリエイターであり、イノベーターでもあった彼女は、常に新しいアイデアを取り入れ、ラグやファブリック、刺繍のパターンも独自に開発したことから、近代テキスタイルデザイン史におけるパイオニア的存在として知られています。

  • Balders Hage バルデシュ ハーゲ

    バルデシュ ハーゲは、ウールとリネンを用いたロングパイルラグ。デッサウが1960年代に生み出し、その斬新さから、瞬く間に一世を風靡しました。

  • グニラ・ラーゲルヘム・ウルベルグ

    古い織物技術と新しい表現を試みた糸を融合し、何度もテキスタイルの固定概念を打ち破ったことから''Queen of Rugs(ラグの女王)と呼ばれたカスタールのレジェンドデザイナー。

  • BROCHURE ブロウシュア

    ブロウシュアは、1990年代にカスタールのデザイナー兼アートディレクターだったグニラが、様々な色柄を組み合わせ、オリジナリティの高いデザインを実現させるために生み出したヘッゴ(Häggå)の実例モデルのラグで、カスタールのカタログのトップページを飾っていたカスタールを象徴するロングセラーシリーズです。

  • セシリエ・マンツ

    セシリエ・マンツは、現在のデンマークを代表するプロダクトデザイナー。過去のデザインに敬意をはらいつつ、現代の暮らしに合わせた柔軟なアイデアから生み出される彼女の作品は、近年のデザイン界において世界中から注目を集めています。

  • Landskab Collection Ålegræs オーレグラス

    Landskab Collection(ランドスケイブ コレクション)オーレグラスは、カスタールとセシリエ・マンツとのコラボレーションにより2024年に発表したコレクションの一つ。
    機能性とフォルムを見事に調和させるとともに、北欧の風景のエッセンスがマンツならではの感性で表現されており、「控えめながらエレガントで洗練された、最も美しい素材のひとつ」と彼女が称するリネンが取り入れられています。